XMLとX2/X2Lのモデルと製造元の変遷
ガガンボです。
先日書いたXMLのレビューの中では、自分の手元にあるXMLフラッシュライトの説明を行いました。
しかしレビューの冒頭に書いた、製造元がInsight TechnologyなのかSpringfield Armoryなのか、XMLとX2/X2Lは何が違うのかが分かっていないまま書いていました。
そのことがモヤモヤしていたので個人的に調べまして、なんとなく納得がいったので書いておきます。
公式のアナウンスが残っているものに関しては確かだと思いますが、性能などについてはフォーラムの書き込みや古いネットショップの情報を参照しているため大変不正確です。特にルーメン数の情報がほんとにバラバラで全く参考になりません。
あと強調しておきますがこの製品の初出は2003年で、今や製造会社からの公式の製品情報は何一つ残っていません。あらかじめご了承ください。
では一番最初に、ネット上で確認できた全モデルの一覧を書きます。
上から古い順です。
・Springfield Armory - XML Flashlight - キセノン - 50ルーメン~ - CR2 Battery
・Insight Technology - X2/X2L(Laser) - キセノン - 40ルーメン~ - CR2 Battery
・Insight Technology - X2/X2L - LED - 80ルーメン~ - CR2 Battery
・EOTech - X2/X2Laser - LED - 40~80ルーメン - CR2 Battery
XMLとX2(キセノン)が同じという声はフォーラムで結構多いのですが、そのくせルーメン数の表記が違ったりして何を信じたらいいか分かりません。
そこでこれまでの情報が理解できるようになる関連情報の年表とソース元、ちょっとした解説を下に書いていきます。
まず最初に、だいたいの疑問について書いてあるスレッドについて
https://www.xdtalk.com/threads/insight-xml-questions.52541/ (2007/11/2)
Q3.XMLとX2ってなにが違うの
Q4.Springfield Armory(SA)が「世界初のサブコンパクト用ライト!」っていってるけどInsightがX2で同じこと言ってる、誰が正しいの?
A3.同じだと思う。SA用のブランド名に「XML」という名前を使ってただけ。
A4.同上。SA用のリブランディング。
A3.X2はXMLよりもちょっと明るいよ。
A3.X2とXMLは同じで、X2Lはレーザー搭載バージョン。
A3.X2は40ルーメンでXMLは50ルーメン以上ある。
何人か回答してるけどそれぞれで結構違う。
では年表へいきましょう。
2003/6/3
「Release of XML from Springfield - SpringfieldのXMLライトの発表(初出)」
https://www.1911forum.com/threads/sa-1911-loaded.49948/#post-419579
2004/6/15
「As for lights, mine came with an XML manufactured by Insight Technologies for Springfield. - ライトに関してはInsightがSpringfieldのために製造したXMLが付属してきました。」
https://www.1911forum.com/threads/anyone-have-a-compact-springfield-xd.85348/post-739979
2005/11/17
「EOTeach was acquired by L-3 Communications - EOTechがL-3コミュニケーションズに買収される」
https://www.militaryaerospace.com/power/article/16712816/l3-communications-acquires-eotech-inc
2006/2/20
Insight X2Lについての書き込み(おそらくInsightのX2/X2Lが出るor出て少しのタイミング)
https://www.1911forum.com/threads/kimber-1911-w-rail-and-insight-x2-laser.137115/#post-1192846
2010/2/20
「L-3 to Acquire Insight Technology - InsightがL-3コミュニケーションズに買収される」
https://soldiersystems.net/2010/02/20/l3-to-acquire-insight-technology/
2010/4/27
「Insight Technology Releases New X2/X2L LED Series Tactical Illuminators - InsightがLEDのX2/X2Lを発表」
https://www.police1.com/police-products/firearms/accessories/press-releases/insight-technology-releases-new-x2x2l-led-series-tactical-illuminators-8Wyl3xicnWq6JXJc/
2007~
OpticsPlanetにて、EOTech X2/X2Lの最も古いレビューの年
https://www.opticsplanet.com/reviews/reviews-insight-technology-x2-laser-sub-compact-tactical-laser-flashlight.html
https://www.opticsplanet.com/reviews/reviews-insight-technology-x2-sub-compact-tactical-flashlight.html
2013/10/29
「EOTech to Discontinue Insight Branded Lights EOTechがInsightブランドのライトの製造を終了」
https://soldiersystems.net/2013/10/29/eotech-discontinue-insight-branded-lights/
上の年表から考えられるガガンボの予想は順番にこんな感じ。
1. 初出はInsightがSpringfield Armoryのために、SA名義で製造したXML。最初のモデルなのでキセノンだし、レーザーを搭載したモデルはなく1商品のみ。SAが製造しているXDコンパクトハンドガンに着ける想定で発売していた。
2. EOTechがL-3コミュニケーションに買収されるが、この時点ではライトへの影響は特になし。
3. InsightがX2/X2L(キセノン)をリリース。光量が変わったかは不明だが、レーザー搭載モデルが新たに増え、SAを抜いたInsightの名前のみで売り始めた。
しかしXMLを買った人がX2Lを買うのはあり得ても、XMLを買った人が同じようなX2(レーザー無し)を買うことはほぼないので正確なレーザー無し同士の比較をした人が存在しないのでは?と思います。
個人的にはXMLとX2の違いは無い気がします。単にSAとの契約が切れたからほぼ同じ仕様で別の名前で出しただけじゃないかな。
4. OpticsPlanetにある、EOTech X2/X2Lの最古のレビューは2007年。
2010年にL-3がInsightを買収し、その時すでにEOTechはL-3に買収されていました。なので2010年以降にEOTechがX2/X2Lを販売しているのは理に適っています。
しかしInsightがL-3に買収される前からEOTechのX2/X2LのレビューがOpticsPlanet書き込まれているのはなぜでしょう。
これもまた多分としか言えないけれど、考えられるのは「InsightのX2/X2L(LED)を買って、EOTechから出ているX2/X2Lの商品ページにレビューを書いた」でしょう。
なんなら2010年より前のレビューは1件だけではなく、5件もありました。レビューを書いた人も、もしかしたらサイト側のOpticsPlanetですらややこしい商品だったのかもしません。
だってキセノンかLEDか、レーザーの有無に加えて、買収やブランディングのせいで製造元の名義は3種類あります。
あとEOTechから出していたX2/X2Lでも本体脇にEOTechのロゴは無く、あるのはINSIGHTとモデル名だけ書いてあるようです。(ネットにある限りの画像を基に判断しました。)
…まあこれらを知ってしまえばきっと判別できますよ、EOTechのでも同梱されている説明書とか読めば絶対製造元は書いてあるはずですし。
でもこのライトの購買層はきっとコンパクトなピストルを購入する、どちらかというとライトな層だと思います。その方々がレビューを書く際に、自分のモデルを間違えずに書けるでしょうか。
ふと、レビューを書こうとしてライトの側面を見たらINSIGHTとLASERとしか書いていない、なんなら特徴的な形で判別して正確なモデル名を知らないって人もいたかもしれないですね。どの製造元で出したのが先かとか、普通そこまで調べずに書くほうが多いと思います。
5. 2013年にEOTechがInsightブランドのライトの製造を終えました。記事の最後には「しかしInsightは死んでおらず、このようなライトを製造しつづけるだろう」と付け足してあります。
同じ傘下で製造を打ち切られたのに?うーん。
少なくとも言えることは、XMLとX2/X2Lのようなコンパクトライトは今は製造されていません。そして公式サイトの情報が消え去った今、当時の曖昧な個人の書き込みと公式記録を基にこのライトについて知るしかないのです。
最後にふと見つけたEOTechのX2のページに、X2Lのことを怒りながらレビューしている人を見つけました。これが多分正解だわ、ウケる。
This is NOT an EOTech! - X2 Laser Sub-Compact Tactical Laser-Flashlight Review
要約:「$89で買ったのは、EOTechのブランドにしてはお買い得だと思ったからだ。しかし製造元はInsightだし、それを包むようにL-3の分断のせいで異なる会社名になってたりする。自分は既に返品を求めていて、それが済んだらOpticsPlanetにこのレビューをカスタマーサービスに反映するようにこのレビューを更新するよ。モノ自体は良いんだけどね。
Amazonのこの商品のレビューを見てみな、多分意味が分かると思うけど全然信用できるものが無いから。使えるか分からないけどリンクを貼っておくから読んでみな。」
リンクが機能しなかったので自分で米AmazonのEOTechのX2/X2Lのレビューを読みに行きましたが、残念ながらレビューは消えてしまった様子でした。Insightのキセノンモデルのは読めましたが、そっちは星5が4割、それ以外がほぼ均等に評価が分かれていました。
以上、ややこしいライトのモデル分岐の考察でした。
XMLとX2/X2Lを持っている人の助けにな…るかなあこれ。まあ言えるのはもうグッチャグチャな歴史と、グッチャグチャなレビューだらけだったということです。
でも調べてたら結構楽しかったです。熱心に刻印を調べるマニアの気持ちが少し分かったかもしれません。
そういやLEDへの変換モジュールを注文したので、近日受け取る予定です。
その時にはきっとこんな難しい話を忘れてるでしょう。
もし今回間違っている情報がありましたら情報提供はウェルカムです。
捻じ曲がった過去を一緒に解きほぐしましょう。
おわり。